
AI勉強会を開催しました
AIの性能は日々向上し、業務で活用するエンジニアの方々も増えてきました。
とはいえ、AIに任せきりにするのではなく、どの場面で活用するか、どうプロンプトを設計するかが成果を大きく左右します。
本記事では、勉強会の内容をもとに「使いどころ」と「プロンプトの基礎」を整理します。
AI活用の基礎
AIは多くのタスクを“それっぽく”こなします。
しかし、自分がそのタスクを十分に理解していないと、出力の良し悪しを判断できずリスクが高いです。
私が勉強会で繰り返し強調したのは、次の原則でした。
“自分 ≧ AI” が成り立つ状況で使う。
- “AI > 自分”の状態(自分の理解が乏しい領域)では、AIの仕事を検証するコストが跳ね上がります。
- まずは自分が判断できる範囲で小さく試し、AIには下書き・叩き台・素案を任せ、最終判断は人間が行うのが安全です。
AIの活用事例
研修〜日常業務で手応えのあった使いどころを3つに絞って紹介します。
1. コーディングのサポート
- 形式的なコードの生成:DTO/エンティティ、CRUD、バリデーションの雛形など。
- エラー原因の切り分け:ログと該当コードを渡し、疑わしい箇所や再現手順を整理。
- テスト/サンプルコードの叩き台:前提と期待値を明示し、後から人が手を入れて完成させる。
コツ:「書けるところだけ書かせる」→人がレビューの流れにすると品質と速度の両立がしやすい。
2. ドキュメントの生成
- 既存コードのREADMEの叩き台、関数単位の説明テキスト。
- 機能追加時の仕様書・詳細設計書の初稿(見出しと要点出し→人が肉付け)。
- ミーティング議事や要件の初期整理(論点列挙、決定事項/未決事項の仕分け)。
3. Google検索の代替(調査の入口)
- まずAIに要点を聞いて全体像と当たりをつける。
- その後、公式ドキュメントや一次情報で裏取りする二段構えが効率的。
プロンプトの基礎
プロンプトは構造化するとAIからの回答が安定します。
おすすめは、以下の8要素を必要に応じて組み合わせる方法です。
- #前提:背景、読者、目的、前提条件
- #役割:モデルに担ってほしい役割(例:シニアJavaエンジニア)
- #依頼:やってほしいことを箇条書きで明確に
- #手順:思考・作業ステップ(漏れや順序の指定)
- #テンプレート:見出し構成やセクションの型
- #出力形式:表・コード・箇条書きなどの形式指定
- #技術スタック:言語/FW/バージョン/対象環境
- #制限:字数・禁止事項・引用ルールなど
ミニサンプル(コード解説をお願いする場合)
#前提
あなたは熟練したJavaのシニアエンジニアです。
#依頼
新人にもわかるように、下記のコードを段落構成で解説してください。
#出力形式
・重要なポイントは箇条書き
・最後に「次の一歩」を3つ
まとめ
AIは強力ですが、成果の鍵は使いどころとプロンプト設計にあります。
まずは“自分≧AI”が成り立つ範囲で、小さく試して検証しながら広げる。
この基本を守れば、明日からでも現場の生産性を底上げできます。
次回の勉強会では仕様書駆動開発や生成AIのツール選定の方法についてお話しできたらと思います。