
MinIOからの移行先を検討!Ceph RGW・Garage・SeaweedFS徹底比較
はじめに
MinIOを利用していましたが、ライセンス変更やアーキテクチャの見直しをきっかけに、他のS3互換オブジェクトストレージへの移行を検討しました。
本記事では、以下の3つのオープンソースソリューションを比較し、最終的にどれを選択したかをお伝えします。
- Ceph RADOS Gateway (RGW)
- Garage
- SeaweedFS
比較対象の概要
Ceph RADOS Gateway (RGW)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発元 | Red Hat(オープンソース) |
| 言語 | C++ |
| ライセンス | LGPL v2.1 / v3 |
Cephは、ブロック・ファイル・オブジェクトストレージを単一クラスタで提供できるエンタープライズグレードの統合ストレージプラットフォームです。大規模環境での実績が豊富で、S3 APIの互換性も高いのが特徴です。
Garage
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発元 | Deuxfleurs(オープンソース) |
| 言語 | Rust |
| ライセンス | AGPL v3 |
Garageは、軽量かつ地理分散に特化したオブジェクトストレージです。単一バイナリで動作し、少ないリソースで運用できるため、小規模〜中規模のセルフホスティング環境に最適です。
SeaweedFS
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発元 | Chris Lu(オープンソース) |
| 言語 | Go |
| ライセンス | Apache 2.0 |
SeaweedFSは、高速でスケーラブルな分散ファイルシステムです。小さなファイルの処理が非常に高速で、S3互換API、Filer(POSIX)、WebDAVなど多機能を備えています。
機能比較
基本機能
| 機能 | Ceph RGW | Garage | SeaweedFS |
|---|---|---|---|
| S3互換API | ◎ 高い | ○ 基本的 | ○ 中〜高 |
| 地理分散 | ○ | ◎ 得意 | ○ |
| Erasure Coding | ○ | ○ | ○ |
| バージョニング | ○ | ○ | ○ |
ライフサイクル機能
| 機能 | Ceph RGW | Garage | SeaweedFS |
|---|---|---|---|
| S3 Lifecycle Policy | ✅ 完全対応 | ❌ 未対応 | ⚠️ 部分対応 |
| TTL(有効期限)削除 | ✅ | ❌ | ✅ |
| ストレージクラス移行 | ✅ | ❌ | ❌ |
ポイント: ライフサイクル機能が必須の場合、Ceph RGWが最も充実しています。Garageは現時点で自動削除機能がないため、外部スクリプト等での対応が必要です。
運用面
| 観点 | Ceph RGW | Garage | SeaweedFS |
|---|---|---|---|
| 構築の複雑さ | 高 | 低 | 中 |
| 最小構成 | 3ノード〜 | 1ノード〜 | 1ノード〜 |
| リソース要求 | 高 | 低 | 中 |
| ドキュメント | ◎ | ○ | ○ |
ライセンス
| ソリューション | ライセンス | 商用SaaS利用 |
|---|---|---|
| Ceph RGW | LGPL v2.1/v3 | ✅ 可能 |
| Garage | AGPL v3 | ⚠️ ソース公開義務あり |
| SeaweedFS | Apache 2.0 | ✅ 可能 |
注意: AGPLv3は、ネットワーク経由でサービス提供する場合にソースコード公開義務が発生します。SaaSとして外部提供する場合は注意が必要です。
用途別おすすめ
| 用途 | おすすめ |
|---|---|
| 大規模エンタープライズ | Ceph RGW |
| 小規模・セルフホスティング | Garage |
| バランス重視・高パフォーマンス | SeaweedFS |
| ライセンス制約を避けたい | SeaweedFS(Apache 2.0) |
結論:Garageを選択した理由
今回の検討の結果、Garageを選択しました。
選定理由
1. 小規模環境に最適
- 単一バイナリで軽量、少ないリソースで動作
- 複雑なクラスタ構成が不要
2. 運用のシンプルさ
- 設定ファイルがシンプルで学習コストが低い
- Rustで書かれており、メモリ安全性が高い
3. 地理分散への対応
- 将来的に複数拠点でのレプリケーションを検討しており、Garageの設計思想と合致
4. Cephはオーバースペック
- 小規模環境では構築・運用コストが見合わない
- 最低3ノード必要でリソース要求も高い
5. ライフサイクル機能は妥協可能
- 自動削除はcronジョブで代替対応
- 現状の要件では必須ではなかった
AGPLv3ライセンスについて
Garageは AGPLv3ライセンスですが、以下の理由で問題ないと判断しました。
- 社内利用が主目的で、外部へのSaaS提供予定なし
- コードの改変予定がない
- バックエンドとしてAPI経由で利用するため、ライセンス汚染のリスクが低い
まとめ
| 観点 | Ceph RGW | Garage | SeaweedFS |
|---|---|---|---|
| 規模 | 大規模向け | 小〜中規模向け | 中規模向け |
| 複雑さ | 高い | 低い | 中程度 |
| ライフサイクル | 充実 | なし | 部分対応 |
| ライセンス | LGPL | AGPL | Apache 2.0 |
小規模環境でシンプルに運用したいという要件から、Garageがベストな選択となりました。
ライフサイクル機能が必須の場合や、大規模環境ではCeph RGW、ライセンスの自由度を重視する場合はSeaweedFSも良い選択肢です。環境や要件に合わせて検討してみてください。