
~PMO 第2弾~ 大規模なシステム改修で複数の開発ベンダーが関わるプロジェクトの円滑な進行は!
PMOにとって、プロジェクトの円滑な進行は非常に重要なミッションです。
複数のベンダーを効果的にマネジメントし、プロジェクトを成功に導くために留意すべき主要な点をいくつかご紹介します。
■複数ベンダープロジェクトにおけるPMOの留意点
1. 共通の目標とルールの徹底
大規模プロジェクトでは、ベンダー間で認識のズレが生じやすいです。PMOが中心となり、以下の項目を徹底してください。
◆共通ゴールとKGI/KPIの明確化:
- プロジェクトの最終目的(改修の意義、ビジネス効果)と、各ベンダーに求める成果を明確にし、全ベンダーで共有します。
- 各ベンダーの担当範囲だけでなく、ベンダー間の連携が必要な領域の責任範囲も文書化し、合意形成を図ります。
◆統一された標準ルールの整備:
- コミュニケーション規約(会議体、報告フォーマット、エスカレーションルート)。
- 品質基準(ドキュメント、コード、テスト)。
- 進捗管理方法(ガントチャート、タスク管理ツール、報告サイクル)。
- 変更管理プロセス(スコープや仕様の変更依頼・承認フロー)。
2. コミュニケーションと連携の強化
複数のベンダーが関わる場合の最大のリスクは、連携不足による手戻りや遅延です。
◆「共通会議体」の設置と運用:
- 定期的に全ベンダーが集まる会議体(全体進捗会議や連携タスク会議)をPMO主導で設定します。
- ここでは、進捗報告だけでなく、ベンダー間の依存関係や課題をオープンに共有し、連携が必要なタスクの担当者と期日を明確にします。
◆「共通情報基盤」の利用:
- ドキュメント、課題、決定事項を一元管理する共通のツールやフォルダを整備します。これにより、「どの情報が最新か」「どこに情報があるか」といった非効率を排除します。
- 機密情報に配慮しつつ、共通認識を持つべき情報は透明性高く共有します。
3. 責任分解点の明確化とリスク管理
曖昧な責任範囲は、問題発生時の「責任のなすりつけ合い」につながりかねません。
◆「責任分解点(I/F定義)」の厳格化:
- システム間の連携インターフェース(I/F)、データ連携、物理的な接続点について、ベンダー間の明確な責任境界線を定義し、文書化します。
- 特にシステム結合テストやデータ移行における責任範囲は厳格に取り決めます。
◆横断的なリスク・課題管理:
- PMOが全ベンダーの個別課題と、ベンダー横断的なリスクを一元的に把握・管理します。
- ベンダー間の連携不足や仕様の齟齬といった「システム連携に起因する課題」を最優先でエスカレーション・解決に導きます。
◆中立的な立場での調整役:
- ベンダー間で意見の対立や利害の衝突が発生した場合、PMOは中立的な立場から、プロジェクトの成功という共通目的に基づき、公平かつ迅速な調整を行います。
4. 契約・SLAと成果物の管理
契約に基づいた適切なアウトプットを引き出すための管理も重要です。
◆契約・SLA(サービス品質保証)の再確認:
- 各ベンダーの契約上の役割、納品物、納期、品質要件をPMOとして改めて把握します。
- 特に、ペナルティ条項や瑕疵担保責任についても明確にしておきます。
◆一貫した品質チェック体制:
- ベンダーごとに品質基準がバラつかないよう、PMOが定める統一的なチェックリストやレビュープロセスに基づき、納品物をチェックします。
- 全体テスト計画を作成し、誰がどのテスト(単体、結合、システム、受け入れ)の責任を持つかを明文化します。
PMOとして、これらの留意点を押さえ、「プロジェクト全体の成功」という視点をもって、ベンダー間の協調と競争をバランス良くマネジメントすることが、大規模改修成功の鍵となるかもしれません。