WEBサービスの仕事をしていると、サーバは強い方がいいと思います。
もちろん、適切な処理能力のサーバを用意できれば一番ですが、少なくとも、サーバが弱くていい、と思うことはないと思います。
それは使う側でも変わらないはずです。
私も、あの時まではそう思っていました。
いざチケット争奪戦へ
某年某日、その日は兼ねてより狙っていた舞台の先着先行の開始日でした。
それまでにあった数ある抽選先行はすべて落選。
その日に始まる主催者による先着先行を逃すと、プレイガイドでの一般発売を残すのみでした。
プレイガイドの先着先行は近年、枚数が限られる傾向にあり、何としても主催者先行をもぎ取りたい気持ちでいっぱいでした。
火蓋が落ちた午前１０時
待ちに待った10時、電波時計を見ながらちょうどの時間にアクセスした私の目の前には「只今、大変混み合っております」のメッセージ。
大丈夫です。まだ慌てる必要はありません。
チケットの先着発売で、サーバのアクセスが制限されることはよくあることです。
プレイガイドの先着では、アクセスできないまま物の１分ほどでチケットが終売することも間々あります。
私は、DoSアタックレベルで、URLをたたき続けました。
それと同時に、SNSの検索窓を開きます。公演名で検索すると、まだチケットがあるのかどうかは確認できます。
依然、アクセスできない状況のままSNSを見ると、アクセスできた人からの「まだある」という情報と、大多数の「アクセスできない」の声。
チケットが完売するまで戦いは終わりません。
いまだページの影すら踏めず
３０分後、たいていの公演では、この時間にはアクセスが落ち着き、運が良ければチケットの余っている日程がある頃です。
私はといえば、まだ、アクセスが成功していません。
SNSで状況を見ても、チケットが取れたという声は極僅か、途中まで行けたのに！という悔しい声も聞こえず、ほとんどが私と同じようにアクセスできない状況のようです。
チケットのためにその日は予定を入れずにいたので、私はひたすらアタックを続けます。
１時間、まだアクセスがかないません。
それどころか、503エラーが表示されるようになりました。
２時間、チケットはまだ残っているようです。
まだ、TOPページにも到達できません。
２時間半を過ぎたころから、TOPページにアクセスできるようになりました。
SNSではもう時間が取れないという無念の撤退報告と、希望公演のチケットをゲットしたという歓びの声が増えてきました。
TOPページにアクセスできたからと言って、安心できないのが残念なところです。
他セッションでTOPページを開く試みを続けつつ、開けたページから公演をクリック、そこでアクセスが切れました。
この主催者のチケットページは、アクセスが切れたら初めからやり直さなければなりません。
他セッションで開けていればそこから再度、今度はチケットの選択まで行けました。あとは決済の入力……だめです。アクセスが切れました。
もう一度です。
チケット選択画面まで行ってわかりましたが、チケットの在庫はまだ潤沢です。
あまりにアクセスが多く、なかなか購入にたどり着けないからか、まだその時点では完売している日は片手分あるかどうかでした。
まだまだチケットがあるのであれば、あきらめたくはありません。
欲しがりましょう、負けるまで。
最後の関門
そうして何度も繰り返し、ようやく決済の入力にたどり着きました。
試行回数はもう覚えていません。
もはや空で唱えられるようになったクレジットカードの番号を入力し、このタイミングでアクセスが途切れないよう、祈る気持ちで決済ボタンを押しました。
チケットの販売ページから、カードのセキュリティページへ、そして、決済の利用通知とともに販売ページのURLに戻り、「チケットの購入が完了しました」の文字が表示されました。
勝利です。
ほっと一息、すっかり冷めた紅茶を渋みとともに飲み込みます。
時計を見ると３時間半も経過していました。
SNSでも、開始時よりはアクセスしやすくなってきたため二枚目、三枚目にトライする人も増えてきています。
私はこの一公演が無事に開催されることを祈りつつ、PCをようやく閉じました。
結論：サーバが弱くて助かった
ここまで長時間のチケット争奪戦はかなり珍しいです。
休日のため短時間で撤退する人は少なく、サーバの負荷が高かったため、購入までたどり着けた人が少なかったのが要因だと考えています。
サーバが多少強かったとして、耐えられるような負荷ではなかったと思いますが、弱かったおかげで粘り勝ちできました。
生きていて、サーバの強さに救われこそすれ、弱さに感謝することがあるとは思いませんでした。
チケットが取れた幸運に感謝し、チケット不正転売にかかわるすべての人の不幸を願って、この記事を示させていただきます。
コロナその他病事件事故で公演が中止になりませんように。
